遮熱塗装は建物の温度上昇を抑え、省エネルギーや快適な住環境を実現する重要な工法です。とくに、DIYで行う場合は、適切な準備と確かな手順、道具選び、安全対策が成功の鍵となります。
本記事では、遮熱塗装の下地処理から下塗り・中塗り・上塗りといった基本的な塗装手順、塗料や道具の選び方まで詳しく解説します。
目次
遮熱塗装の基本的な塗り方

ここでは、遮熱塗装をDIYするときの準備や塗り方の流れを解説します。
①遮熱塗装の下地処理と準備
遮熱塗装を始める前に、古い塗膜や表面の汚れを丁寧に除去することが重要です。まずは高圧洗浄機を使って、ホコリやコケ、汚れをしっかり洗い落とします。とくに長期間メンテナンスしていなかった場合は、塗装面に付着した油分やカビも影響するため、専用洗剤を使った洗浄も効果的です。
次に、古い塗膜が剥がれかかっている部分はワイヤーブラシやスクレーパーで取り除き、平滑な状態に整えましょう。これにより新しい塗料の密着性が高まり、仕上がりの耐久性が向上します。下地が十分に乾燥してから次の作業に進むことも忘れずに行いましょう。
ひび割れや穴の補修
塗装面にひび割れや穴がある場合は、塗装前の補修が欠かせません。小さなクラックはシーリング材や外壁補修用のパテで埋め、表面を平滑に仕上げます。広範囲にひび割れが広がっている場合は、専門業者に相談するか、補修用の材料を使って強度を確保することが必要です。
補修後は、乾燥と硬化時間を十分に確保し、その後サンドペーパーで滑らかに研磨します。こうした丁寧な補修作業が遮熱塗料の効果を最大限に引き出し、長持ちさせるための基本となります。
足場設置と安全対策
安全に遮熱塗装を行うためには、適切な足場の設置が不可欠です。足場は作業しやすさだけでなく、安全性を高める役割があります。屋根や高所の場合は特に、安全ベルトやヘルメットの装着も必須です。
また、法律や地域の規制に沿った足場設置が求められます。足場設置の費用や種類についても事前に調査し、作業効率と安全性のバランスを考慮した選択が重要です。作業エリアの立ち入り禁止表示や、落下物防止ネットの設置なども安全対策の一環として行いましょう。
②下塗りから上塗りまでの塗装手順
下塗りは遮熱塗装の基礎となる重要な工程です。まずはプライマーと呼ばれる下塗り塗料を均一に塗布することで、上塗りの密着を良くし、剥がれやムラを防ぎます。プライマーは素材の種類に応じて選び、ローラーや刷毛を使って薄く伸ばします。
この際、塗り残しや厚塗りを避け、全体をまんべんなく覆うことがポイントです。塗布後は説明書に従って十分に乾燥させてから、次の工程に進みましょう。
③使用する道具と適切な塗料の選び方
遮熱塗料は性能や耐久性で差があり、耐久年数や防カビ性能、環境への配慮なども選定のポイントです。用途や予算に応じてメーカーの技術資料を読み比べることが重要で、施工性や仕上がりの質感を考慮して自分の施工環境に合った塗料を選びましょう。
遮熱塗装には広い面積を効率よく塗れるローラーと、細かい部分を丁寧に仕上げるための刷毛が必須です。ローラーでは毛の長さや素材によって塗料のつき方が変わるため、一般には中毛ローラーが多用されます。刷毛はナイロンやポリエステル製が塗料に馴染みやすく、端部や継ぎ目の処理に適しています。その他、塗料缶の開閉や攪拌に使うヘラ、塗装時の養生テープ、ゴミやほこり除去用のブラシも用意すると良いでしょう。これらの基本道具を揃えることで作業効率と塗膜の品質が向上します。
遮熱塗装の施工時注意点と失敗防止策

遮熱塗装は建物の温度を抑え、省エネ効果を発揮しますが、その効果を最大限に引き出すためには施工時の注意が不可欠です。
適切な塗布厚や均一さ、施工環境の整備、安全対策をしっかり行わなければ効果が不十分になったり、塗膜の剥がれや割れなどのトラブルが起こるため、失敗を防ぐポイントを理解しましょう。
天候や気温による塗装の影響と対策
遮熱塗装を行う際、天候や気温は施工の仕上がりに大きく影響します。塗装は気温5℃以下や湿度85%以上の環境では適切に乾燥せず、塗膜の密着性が低下しやすいです。雨天や強風も避けるべきで、湿度が高いと塗料の乾燥時間が伸び、ムラや剥がれの原因になります。
最適な施工時期は春秋の気候が安定した時期であり、日差しが強すぎる真夏は塗料が急速に乾燥して塗りムラやシワのリスクが高まります。適切なタイミングと天候の確認が、均一で強固な遮熱塗膜を作るポイントです。
塗料の希釈方法と塗布量の調整
遮熱塗料は指定の希釈率を守ることが重要です。水や専用シンナーなどで薄めすぎると遮熱顔料の密度が低下し、効果が薄まります。
また、逆に希釈不足は塗料の伸びが悪くなり塗りムラの原因となります。塗布量はメーカーの規定を厳守し、薄すぎると遮熱性能が発揮できず、厚すぎると塗膜割れや剥離に繋がります。施工時はローラーやスプレーの使い方を工夫して均一な厚みに塗ることが求められます。
塗装ムラや剥がれを防ぐポイント
遮熱塗料は塗膜の均一性が性能に直結します。塗装中の塗り残しや厚さのバラつきは熱侵入の原因となり、せっかくの遮熱効果を損ねます。また下地処理が不十分だと塗料の密着が悪化し、剥がれやクラックが発生しやすくなります。施工前に汚れや古い塗膜の除去、ひび割れ補修を徹底しましょう。
加えて適切な下塗り塗料の使用、乾燥時間を守ることも必要です。風が強いと塗料飛散やムラが増えるため、施工環境の整備も重要です。これらを踏まえた丁寧な施工で長持ちする遮熱塗膜が築けます。
安全対策と足場の設置・使用上の注意
遮熱塗装は高所作業が多く、足場設置と安全管理が不可欠です。足場は強固で水平に設置し、作業者の転落防止のため手すりやネットの設置を行いましょう。作業中はヘルメットや安全ベルト、滑りにくい靴など保護具を必ず着用することが求められます。
また、作業エリアの立ち入り制限や周囲への警告表示も忘れずに行います。安全教育と施工管理を徹底し、事故を未然に防ぐことが施工品質にもつながります。安全対策の不徹底は施工遅延や信頼低下の原因にもなるため、計画的に準備を進めましょう。
業者依頼とDIYの比較・費用とメリット・デメリット
DIYと業者に依頼するときの費用やメリット・デメリットが気になる人も多いでしょう。以下に、簡単に違いを表にまとめました。
| 項目 | 業者依頼 | DIY |
|---|---|---|
| 費用 | 一般的に50万円~80万円程度(施工費込み) | 塗料と道具代のみ(数万円~十数万円) |
| 施工時間 | 短期間で効率的(数日~1週間程度) | 時間がかかり、数週間かかることも |
| 仕上がりの質 | 均一で高品質、耐久性が高い | 技術や経験によりムラや剥がれのリスクがある |
| 安全面 | 足場設置や安全対策が万全 | 高所作業は危険が伴い、安全管理が必要 |
| メンテナンス対応 | アフターフォロー・保証あり | メンテナンスも自分で行う必要がある |
| 施工の自由度 | 専門知識による計画的施工 | 自由に施工計画を立てられる |
| 対象者 | 忙しい方や技術に自信がない方向け | 技術に自信があり、時間に余裕がある方向け |
| 効果の持続性 | 高耐久塗料使用で長期的に持続 | 施工品質により耐久性がばらつく可能性あり |
DIYは安く仕上がることが最大の魅力の一方、メンテナンスや質・持続性などを重視する人は業者依頼するほうがおすすめです。
具体的にどのような違いがあるのか、見ていきましょう。
DIYでの遮熱塗装のコストと手間
DIYで遮熱塗装を行う場合、コスト面では大きな節約が期待できます。必要な費用は主に遮熱塗料代と塗装に用いる道具代で、自分で施工すれば施工費用はかかりません。一般的な遮熱塗料は1缶あたり5,000~20,000円程度で、ローラーや刷毛、足場などの道具もある程度揃える必要があります。
ただし、DIYは専門知識や技術がないとムラや剥がれ、耐久性低下のリスクが高く、仕上がりの質にばらつきが出やすい点がデメリットです。また、特に屋根や高所の塗装は危険を伴い、足場の確保や安全対策を徹底しなければなりません。時間や手間もかかるため、ある程度の労力を割ける方向けとなります。
施工の失敗は再施工のコスト増にもつながり得るため計画的な準備が必要です。
業者に依頼した場合の費用とメリット
業者依頼の場合は、施工にかかる専門的な作業全般をプロに任せられるため、仕上がりの均一性や遮熱効果が高く安定します。費用相場は住宅の大きさや施工面積によりますが、一般的に50万円~80万円程度の見積もりが多く、足場設置、高圧洗浄から下塗り・中塗り・上塗りまで一括で行います。
高性能な遮熱塗料の使用や補助金の活用も業者は提案可能で、耐久性を重視したプランニングが叶います。加えて、業者は安全面でも万全な準備を持ち、施工時間も短縮されるため、負担を減らしたい方には最適です。アフターフォローや保証がつくことも多く、安心して依頼できる点も大きなメリットです。
DIYと業者どちらを選ぶかの判断基準
DIYか業者依頼かを選ぶ際は、コスト・安全性・仕上がり・時間の面で自分の状況をよく見極めることが大切です。DIYは費用を抑え、好きなタイミングで施工できる自由度がありますが、技術的課題や安全リスクを自己管理しなければなりません。
一方で業者依頼は費用はかさみますが、高品質な仕上がりと安全対策、短期間で効率的な施工が望めます。屋根や高所作業に不慣れだったり、忙しくて時間を割けない場合は業者依頼が安全かつ確実です。逆に、時間的余裕があり、施工にチャレンジ精神がある場合はDIYも選択肢です。
どちらにせよ、施工範囲や目的、予算、技術レベルに応じて判断し、場合によっては部分的に業者依頼とDIYを組み合わせることも賢い選択と言えるでしょう。
遮熱塗装の塗り方を成功させるには丁寧な準備と塗装が必要
遮熱塗装の成功は、下地処理の丁寧さと正確な塗装手順にかかっています。高圧洗浄で汚れを落とし、ひび割れや劣化部分はしっかり補修したのち、安全な足場を確保してから作業を開始しましょう。下塗りでしっかり密着させ、中塗り・上塗りで均一な膜厚を保つことが重要です。安全対策を守りながら、一つ一つの工程を丁寧に行うことで、遮熱効果が長持ちし、快適で節電にもつながる住まいを実現できます。
遮熱塗装の効果を最大限に引き出すには、施工の質が重要です。大阪のスマイルファクトリーは豊富な実績を持ち、高品質な遮熱塗装を提供しています。
お客様の住まいの状況に合わせて最適なプランを提案し、安心の自社施工でコストも抑えられます。大阪で遮熱塗装を検討中の方はぜひ相談ご相談ください。